マルーンに乗って

お膝元で暮らす日常の思いつき

奇跡の最前列@『王家に捧ぐ歌』感想編

で、二幕が始まるわけですが…。

そのいよいよ始まるという肝心な時に私の気分は悪くなる一方でした。
何故かというと、これから始まることへの緊張と最初に出てくるのが真風さんだというプレッシャーでクラクラしてたからです。
メンタル弱すぎ…。
前もって1列目って知ってたら心の準備もできていたかもしれませんが、何しろ急な話でしたし!

とにかく最初にウバルドが出てくるのは重々分かってる。
ここを乗り越えたらなんとかなる!と、何だかよく分からないことを言い聞かせていました。
こう言っちゃなんですが運の悪いことに(?)変わってもらった席は上手のサブセンでした。
いや、真風さん見るには適しているんですけどね。
この時は逆にどうよ?!って心境だったもので…。

さて客席が暗くなります。

(あぁ!いよいよあの辺りから現れる!)

正直その出てくる上手の花道をガン見していいものかも分からなかったです。
でも知ってるのに無視するのも変だし、やっぱり出てくるところをちゃんと見るぞって決めたけど…緊張が!

(…は!で、で、出たーっ!!)

…お化けじゃないんだから。

1列目から見た真風さんの最初の感想。
何だか、高画質だわっ!(どうよ、それ)
まだ照明は薄暗いけど黒塗りのメイクって近くで見ても綺麗かも!なんて思いました。

♪平和が一番だと~

ここで剣を回す振りが好きなんですけどね、ふと気づくわけです。

(は!ちょっと待って、これって…)

(こっち、来るーっ!)

(うわぁぁぁぁぁ!Σ( ̄□ ̄;))

まさかの銀橋ジャンプを見逃すという奇跡!
いや、だって思ってた以上にすんごいスピードだったんだもん。
は!と冷静になったら、もう下手で壁とお友だちしてました。


石壁の場面。

カマンテのクールさとサウフェの幼さはここでも際立ちますね。
カマンテは意思をもってウバルドに続いていくわけですが(でもやっぱりカマンテ自身の考えと言うよりウバルド様絶対!って感じ)、サウフェはまだよく分からず従ってる風なのがもう!
あとサウフェの悲しそうな顔が本当にキュート。
ちょっとだけ眉間に皺って感じの蒼羽さんが良い!
怒りより悲しみの方が先に感情として溢れるあたり、本当に優しい子だったんだろうなぁと感じさせます。

あとエチオピア人があんなに床叩いてるの知らなかったよ。
基本ウバルドが出てると彼をオペラでガン見なので、オペラなしの世界は本当に新鮮でした。


そして美人選びへ。

ここは後方からだと、スポットが当たることもあってやはり女官たちへ目がいきます。
けど、この日は上手だったこともあってエジプト兵がよく見えました。
ここの女官長の純矢さんとエジプト兵の風馬さんのお芝居がとても面白いんですよ!
風馬さんはメッチャ純矢さんを推してるんですね。
「俺の推してる女官が間違いなく選ばれるはず!」みたいな、ところが選ばれない!
「えぇっ?!」となる二人。
純矢さんは風馬さんの方を見て「ちょっと、どういうこと?!」的なアクション。
風馬さんはすかさず「大丈夫だよ!」とグッと握りこぶしを作ります。
純矢さんはそれを見てニコニコと「OK!OK!」と上機嫌になり再び列へ。

♪いいや、あの子だって素敵だ~

この時も風馬さんは両手を使って純矢さんを見て!と言わんばかりに歌ってるのが可愛い。
しかし神官に選ばれどっかに連れて行かれていくことに彼は不満はないんでしょうか?
それとも俺の推してる女官なら、総選挙だって1位間違いなし!みたいなファンとしての気持ちなのかしら??
だのに純矢さんは選ばれない!

「えぇっ?!」となった二人はこの後笑顔で一緒に踊るので、なーんだ仲良いんじゃん♪と思いきや「きゃー!ラダメス将軍よ!!」と叫ぶ前の綾瀬さんとハイタッチしてるのが侮れないな…と思いました。
わたしは女官の中で可愛いなと思っているのが、純矢さんと綾瀬さんなのです。(特に綾瀬さんはお人形のよう!)
その二人と「イェーイ!」と絡んでるエジプト兵風馬さん、やり手だわ。

さすがエジプト兵風馬さんは、一幕でお亡くなりになる伝令風馬さんとは「全くの別人」(歌劇7月号より)として役作りしてるだけありますね。
身内があれだけ弾けてたら引きますもの…。
でも天玲さんと和希さんもこの場面に出ていることを考えるとエジプトの浮かれっぷりも最高潮!そりゃアムネリスもキレますわ。

下手花道からチラッと美人選びの開始を見てからエチオピア3ははけるのですが、今なら勝てる!と思うのも当然かもしれません。
何しろこの日まで気づいてなかったのですが、エジプト兵たちはこの場面剣を装備してないんです!
あんまりにも金ピカだから後方からだと分からなかったよ…。


ケペル、メレルカ登場。

ここの場面、お二人は頭巾だけでなく剣も装備してなかったんですね。
「戦士はもう用なし」と言っているけど、お仕事はどうしたんでしょうか?まさか無職ではないでしょうし…。

それはさておき、ここも銀橋を使った演出があります。
今度こそ頑張って見るぞ!と思ったのですが…まさかの愛月さん立ち位置が目の前!!

愛月さんと言えば『NOW ON STAGE』で真風さんの胸ぐらを掴み、顔を見なければいけないのに見ることが出来ず…という可愛いエピソードで笑わせてくれたのですが。
ごめんなさい、愛月さん。
あなたのこと笑ってしまったけど、確かにこの至近距離で綺麗なお顔をガン見しろってハードル高い!
わたしなんか首筋を見ることも出来ず、胸元のキラキラを見つめてたよ。
こんな凝った装飾だったの!とか思ってる場合じゃないですよね…。

下手の方に顔を向けるとキャッキャッといった感じでじゃれてる朝夏さん&桜木さんが!
これがまた朝夏さんが良い顔で。
いや、ラダメスがアイーダに見せる笑顔とまた違うんですね。
無邪気というか…。
唯一友だちを感じさせる場面なので、意識して違う表情をしていたのかもしれません。
語弊があるかもしれませんが、いたずらっ子みたいな雰囲気が微笑ましかったです。


ところで、この二幕第二場は大変長い場面でずーっと同じ場所(セット)で芝居が進んでいきます。
唯一動きがあるとすれば照明で、特に奥のエジプト遠景を照らすホリゾントライトの美しさたるや!(と書いて間違ってたらごめんなさい)
これは後方からだと意識して見ないとダメだし、恐らく二階からだと見えていなかったので驚きでした。
この場面のラストは♪月満ちでピークを迎えますから徐々に暗くなっていくのが表現されていて、それがまた自然で素晴らしいんです。
夕焼けと言えば刻一刻と色を変えていきます。
青い空からオレンジ、そして沈む時の濃い赤。
この真っ赤に染まったエジプトを背景に芝居しているのが、なんとエチオピア王アモナスロ!
真っ赤な背景が後のエチオピアの場面を思わせ、不吉なのがなんとも。
その上歌詞にある「生きたまま焼かれ」の火をも思わせるのが恐いですね。


月満ちへ…。

ここでは恋すると言うか、愛に生きるラダメスの良い顔が見放題といった感じ。
何しろ上手に逃れたアイーダに向かって「あなたを愛している!」ですからね、もしかしてわたしに?!ってくらいキラキラしてました。
ちょっと、アイーダさん見た方がいいんじゃない?やたら良い顔してこっち見てますよ!って言いたくなるくらいだったよ。
でもねぇ、「こんな風に言われて…」って打ちのめされているアイーダさん。
描かれてないだけで、きっとあの顔でかつて口説かれたというか…知ってるんだろうなって思ったあの顔を。
でなきゃ飛び込まないよ、分かってるんだよね。
それこそ♪ナイルの流れのようにの時アムネリスが見た一瞬の表情はあれだったのかも、そしてそんなのアイーダもとっくに気づいているんでしょうね。
だからこその偽の愛想尽かしって展開、好きです。

突き飛ばされたラダメスが立ち尽くしたのも、わたしの目の前で。
またも装飾に目を奪われたのですが、よく見ると左袖口に1本糸のようなものが?
細心の注意を払ってる宝塚の衣装に糸?と訝しげに思い気づいたのです。
これアイーダの髪の毛じゃない?!
そう、あまりの装飾っぷりに引っ掛かったのではないかと。
む、娘役さんって大変だーっ!と驚いてしまいました。

♪月満ちのナンバーでは本当に流れている涙を拭うラダメスにキュンとなったりしてましたが、一つ気になってることがあったのです。

ファラオの守りは手薄になる~

と歌うアイーダの背後でアモナスロとエチオピア3が芝居しているのですが、果たしてそれはアイーダに見えているのか?ということ。
ここでアイーダは本舞台の方に振り返りますからね。
アイーダの立ち位置もわたしの目の前で、気になっていたのでその目線の先を追ったのですが。
アモナスロがメッチャこっちを見てるーっ!
しかも目線を合わせてくる勢い!!
こ、恐い…。
確認しておもったのはアイーダには心の中に父と兄たちがよぎるって感じなのかな?と。
ただ実咲さんにあのアモナスロはがっつり見えているから大変そうだな、と思いました。

あとアイーダが横切るとフワッと草原のような香りがするのが気になりました。
何か緑を感じさせる香水を着けてるのかしら?


再び石壁。

ここの「女になるの」宣言を受けてのエチオピア3の姿がもう絶望的で…。
どこか王女を守る騎士的な存在でもあるわけですが、その大切な王女を目的の為にとは言えエジプトの将軍に差し出すかのような作戦をとっている辺りからもう精神的にはギリギリなんだなと。
そして王女を失い、エチオピアの為という大義しか残っていない彼ら…。
もう本当に苦汁を飲んだかのような表情で、絞り出すような声で罵倒する3人の顔!
切なすぎる!!

この日「虫けらだわ!」を受けて「アイーダ様っ!」と返しているのを初めて知ったんですが、一体何を伝えたかったのだろう…。

この後真っ赤なライトの中「神に許されている」とのめり込んでいく姿、本当にいっちゃってて。
こんな若者3人の命を捨てさせる作戦を考えるアモナスロは本当に狂ってるなと思いました。
「私は狂わない」って言うけど、自分でファラオを殺すのではなくて息子にやらせるっていうのがもうねぇ…。


三度の銅鑼。

ここはもういっちゃってるウバルドをガン見でしたわ。
やっぱりラダメスのこと相当意識してるなって思いました。
「神のご加護だ!」の表情もヤバいもの!
きっと最後もラダメスが裏切ったって言い切りたかったんだろうな、と。
大体カマンテとサウフェは首を自ら切っての即死。
ウバルドが腹部を刺したのは意図があってのことですよね。
あと亡くなる前にやっぱりウバルドとラダメス二人の目線が合ってるのが確認出来て良かったです。

個人的には、ここで真風さんがどちらの袖にはけてるのか気になっていたのですが。
1列目にも関わらず何と分からずじまいでした!
黒いし、暗いんだもん。
たぶん下手だと思うんだけど。


地下牢。

ここの照明にも感動でした。
ラダメスが上手花道のせりから登場。
もうね、本当に暗い。
前方だからこそ感じた、明かりが本当にない!
ラダメスを照らすのは薄暗い舞台上部と花道だけ、それ以外は全部消えていたと思います。
確認の為に振り返りたい衝動に駈られたけどそれは我慢。
でもかつてあんなに暗い客席は体感したことはありませんでした。
ぽっかりと自分だけのような雰囲気、その中で絶望の芝居をする朝夏さんには本当に孤独だろうなと思いました。
そして「光を得た」の時、パーッと照らされた顔は照明より輝いていました。
アイーダが本当に心へ明かりを灯したかのようで美しかったです。

そして聞こえてくるアイーダの声!
駆け寄る二人!!

えぇっと、突然なんですけどね。
かつて安蘭さんのファンだったわたしは、この場面を最前列で見たい!という夢がありました。
そして12年越しにその夢がある意味叶ったわけですが、まさか上手からは何も見えないとは知らなかったです!
この場面って後ろから見るのが正解かと。(もしくは下手)

見えるのは朝夏さんの後ろ姿だけ。
すっぽりと収まった実咲さんなんて全く見えない。
どうしよう、せっかく1列目なのに!ここでしか見えないものを見なきゃ!!と考えた挙げ句、わたしは朝夏さんの素足を見つめました。
ファンの方々すいません。
…すっごく綺麗でした!(なんの報告だよ)

アムネリスがラストの台詞を言う時、ラダメスが目の前でした。
この声が地下牢の二人に聞こえているのかが謎だったんですが、ラダメスの瞳は♪世界を求むが聞こえてきたときにウルウルとし始めたんですよ!
もしかしたら聞こえていたのでしょうか。

あと全くの余談なんですが。
このとき朝夏さんが背中の方から照らされるんですね。
舞台上部のスポットで。
これが熱くて!
よく新公を主演された方が、トップさんのライトは違うとお話されていますがまさしくそうで。
まともに正面から照らされる形になっているわたしは眩しいし温度は感じるし、その上そんなクセはないはずなのにくしゃみが出そうになりパニック状態でした。
こんな良い場面で!

慌ててハンカチで口元を覆ったわたしの姿はエジプト兵からは泣いてるように見えたでしょうね…。

あとラスト。

12年前と違ってはける時に剣を拾うエジプト兵が見えないのがいいですね!
これも照明の工夫でしょうか。
初演の時は結局拾うんかーい!とツッコミ入れてましたからね。
とっても良かったです。

以上、最前列からの景色伝わったでしょうか?
長くなったのでフィナーレ編と分けます。