マルーンに乗って

お膝元で暮らす日常の思いつき

宙1、2の周りの二人組。

そんな人余りいないと思うんだけど、石室でお亡くなりになってるウバルドの横に転がされるラダメスという図にグッときます。
宝塚の舞台の真ん中は0(ゼロ)番と言って、トップしか立てない位置と言われています。
その重要な0番に転がってるトップと2番手。
あまりお目にかかれない図にニヤニヤが止まりません。

そういえば星組の『D D』でも途中何故か柚希さんが倒れる、というか横になるんですが。
満員の観客と組子全員に見守られながら寝ているトップ…。
そんなの前代未聞では?!と思うと初見でニヤニヤが止まらなかったというね。

ま、それはさておき。

ラダメスには友人ケペルとメレルカ。
ウバルドには一緒に捕まっているカマンテとサウフェがいます。
(この四人の配役、わたしの予想はハズレてたなぁ…)

何となく宙組公演が始まる前はやはりトップと絡めるケペルとメレルカの方がおいしいだろう!と思ってました。
♪友よ~の歌もあるし。
カマンテとサウフェ、そしてウバルド。
初演の印象からニコイチならぬサンコイチといった感じで、地味かなぁ?なんて勝手に思ってたのです。

ところが改めて生で観て、複数回ともなると印象が全く変わりました。

まずケペルとメレルカ。

単純においしい役とは言えない難しさがあるなと思います。
今にして思うとこの役への好印象は梅芸版『AIDA』での熱演があったからだと。
本当に『AIDA』ではケペル役角川裕明さんとメレルカ役KENTAROさんのお二人には泣かされました。
でも『王家』ではそれほどではない?!ほとんど脚本一緒なのに?
で、思ったのですがこの二人、脚本にない部分を相当掘り下げないと個性が出ない上に、その個性を出せる場面が超ない!ほとんどない!!
何しろ衣装がコピペか?ってなエジプト兵。
正直最初のラダメスも気をつけないと埋没しちゃいそう。(でも将軍になるまでは仕方ないよね)
そりゃ被り物に線があるとか、マント着てるやんとかあるけど…それだけじゃあ!
唯一の救いは銀橋渡りが被り物なしってことだよね。
だって、あれ被ってる限り顔と手以外覆われてるんだもん。
そりゃ芝居で個性出すって難しいと思う!
肝心の♪友よ~の歌も立ち位置が花道だから、ちょっと端すぎやしませんか?って感じだし。
(梅芸版だと後ろのセットで歌うのが格好良かったんだけど、宝塚じゃ難しかったんだろうな)

意識して注目すると愛月さんがかなりウェットな役作りをしているのが面白い。
ラダメスを地下牢送りにした場面ラストは泣かんばかりにくしゃくしゃの表情で、がっくりとしています。
ラダメスとの友情を感じさせる雰囲気で、しかも本当に辛そうなんです。
ただしオペラでガン見しないと分からないのが!

メレルカの桜木さんはまだちょっと謎なんですが(わたしが見きれていない)、エジプト兵人生に対して疑問なしといった感じ。
石室でラダメスを取り押さえる際も悩みなし!に見えます。
その後♪エチオピアを滅ぼしに行きましょう~の時、ポーズするんですが顔のキリッと具合がヤバい。
友情はさておき使命は使命、確実にエチオピアを殺るぜ!といった様子。
その横でラダメスがショック受けてるのなんて見えていないのかも…。

何となくラダメスの♪世界に求むを聞いてケペルは少しどういうことか考えてくれている風に私は思いました。
メレルカは理解できないけどラダメスの言うことだしって感じだったのかな?将軍の言うことは聞くぜ、的な。
梅芸版では地下牢へ行く前にラダメスがそっと「ケペル、アムネリス様を頼む」と遺言を残します。(ここがまた泣けるんです!)
初演の時も優しそうなケペルと結ばれればいいのに、と思っていたので愛月さんにならアムネリス様託せそうで良かったです。

で、カマンテとサウフェ。

当初サンコイチと思っていましたが、これがどうして個性的。
歌詞の中で「家臣のお前が」や「優しかった」と性格を教えてくれるのもいいですね。
エチオピアのことを悩み続け、最後にたどり着いた到底理解し難い行動へ間違いないと傾倒していく様にはゾッとします。
そりゃ真風さんも病むって言うわ、この3人。
エジプト兵と違い、衣装が皆違うので分かりやすいのもいい。
ぴらぴらがダンスに映えるのも良かった。

カマンテは職務に忠実な雰囲気。
最初はウバルドと同じ年かと思いましたが年上かも、ご学友とかそんな感じだったのかな?
一幕ラスト花道でのウバルドの「待て!」の反応もいかにも家臣らしくて格好良いです。
澄輝さんのお芝居の見せ方、特に表情の変え方から冷静沈着=知性的な人なのかな~といった様子。
一番の見せ場はウバルドの横で淡々と激しく踊っているところですね。
もうね、ウバルドに頭を預けすぎだよ。
迷いが全くないのがあれで分かるけどメッチャ恐い。
ウバルド様の言うことには間違いない!そんな感じです。
その辺りからウバルドとの長年の付き合いを思わせてくれます。

サウフェは十代っぽいのが泣かせますね。
大体最初の♪憎いエジプトと戦う力を~の歌詞と見た目のキュートさが遠すぎて引きます。
蒼羽さんの大きい目がくりっとしてメッチャ可愛いのが良いですね。
その可愛い子ちゃんがウバルドが歌っている横でナイフに魅せられている様は本当にヤバい。
あそこの表情は要注目です。
注目と言えば一幕ラストの花道で、何故かサウフェだけ客席に顔を向けているので辛そうな表情がよく分かります。
この優しそうな子があんなことを!の衝撃が凄いです。

で、ですね。
石室の場面はケペル、メレルカ、カマンテ、サウフェの見せ場でもあるわけです。
どうやって死んでいったのか、ラダメスに対する芝居は?とか気になることはいっぱい!
だのに、わたしは基本ウバルドをガン見。
それだけならまだしも横たわってるだけのラダメスとウバルドにも夢中。
絶対そこじゃないだろう、見所は!
分かってるんだけど止められないんだよ~。
あぁ、ウバルド以外もちゃんと見たい。