マルーンに乗って

お膝元で暮らす日常の思いつき

『メランコリック』な世界で生きる愉快な人々。

『NOW ON STAGE』で朝夏さんが言っていたように様々な人物が登場する『メランコリック・ジゴロ』。
本当にどのキャラも演じている人にぴったりで楽しいですよね~。


まずは幕開け、瀬戸花さん演ずるアネット。

朝夏さん演ずるダニエルと真風さん演じるスタンと一緒に現れる女性、騙されているとも知らずに…ちょっと可哀想?
あらすじによると何と浮気相手なんですね!
てっきりジゴロだからたくさん引っかけた中のひとりで、ヤバそうだから別れるしか!って感じなのかなぁと思ってました。
しかもアネットの方は後半フェリシアに話しかけている感じだとジゴロだと承知の上での関係!
そういえばスタンに説得されてましたっけ「これ以上…」とか、まぁ聞く耳を全く持ってないんですが。

瀬戸花さんがアネットと聞いて、初演が月影瞳さんだったし可愛い系?思いきや大人な女性だし色っぽくてビックリ。
だのにとんでもなくパワフルで!
しかもそのお芝居がとっても上手くてスタンったら本当に鞄で殴られてるみたいなんですもん。
(受ける真風さんの芝居もいいんですけどね)
その後「汽車止めてーっ!」と思わず掴むところも本当に止めてしまいそうで、「足腰が強い」という台詞にも納得な様子もたまらないです。
結構ペラペラと台詞を話し続ける役なんですが聞き取り安いのが素晴らしいですよね。


綾瀬さん演ずるレジーナ。
ダニエルの(元)パトロン

いやぁ、本当にキュートな有閑マダムですよね。
「色っぽい!」とダニエルに称されるだけある納得のビジュアルも相まって年を重ねた女性が暇に任せてというより、若くして大金持ちに嫁いだけど年寄りの旦那じゃ物足りなくって…といった雰囲気。
一体ダニエルと別れた後どんな酷い目にあったのか気になるところ、必死に懇願してますものね。
「おバカさんねぇ」の言い方がとっても好き、何かあんな感じにダニエルとお付き合いしてたのかなぁと匂わせてくれますよね。
そしてラストの去り際もやっぱり可愛くって!
ラストシーンのスパイスとして効いてます。


登場順に気になる人を挙げていくと、わたしが毎回ついついオペラで目線を奪われてたのは第4場の通行人です!
パーティの後ダニエルが主題歌をメランコリックに歌っている後ろでお芝居している二人。
最下級生の鷹翔さんと水音さんのカップルが、ここ良い芝居してますよ~。

まず上手の階段に凛城さん演ずる浮浪者がいるんです。
一旦通りすぎるんですが、彼氏が「ちょっと待ってて」と彼女に断ってから浮浪者の元へ行きます。
この時の彼女が「え~!何ぃ?!」というような嫌そうな感じじゃなくって、単純に「どうしたの?」という感じで彼氏を見つめているのが本当に自然。
それもやり過ぎてないのが良いんですよ。
そちらを気にしないように待ってる姿もリアルなんです。

最初注目したきっかけは凛城さんに話しかけているの男役は誰?でした。
というのも、結構厳しい雰囲気でガンガン話しかけているんですね。
えぇ?浮浪者の方に冷たい人なの?!宝塚にそういう役があるのは寂しいなぁと注目していたら、凛城さんは「ふん、ふん」と真剣な眼差しで聞いています。
あら、どういうことかしら?と思っていたら鷹翔さんが上手の方を指して何やら説明しているんですね。
やがて立たせてもらった凛城さんも「ありがとう、ありがとう」とペコペコ頭を下げてからそちらへ向かいます。
あれ、恐らくなんですけど「こんなところで寝ていたら危ないよ、あっちにシェルターがあるからそこに行きなよ」と言っているのではないかな?と思っています。
その後彼女のところに戻ってきた彼氏は「お待たせ」とは言うものの俺良い事しただろ?みたいな感じは出してません。
彼女も良い事したね!素敵!!って感じでもなく、さぁ行きましょうとまるで人助けは当たり前のように去って行きます。
本当にこの二人のさりげない優しさ溢れるお芝居が好きです。
通りすがりの人が浮浪者を助ける、そんな現実に中々出来ないことを見せてくれるだなんて宝塚らしい場面だなぁとも思ってます。

鷹翔さんは175センチと背も高く(何と真風さんと同じ!)、駅員はふたりいますが背が高い方なので見つけやすいですよ。
水音さんはカフェでキュートなウェイトレスぶりを発揮してますし、101期生にも注目ですね。


そしていよいよカフェの場面!
ここは本当に様々な人のキャラが立っていて目が足りません!!
…ですが、ここはスタンが出てくる場面なので、真風さんをガン見してしまうわたしには周りがあまり見えていないという。
我ながら本当に残念です。


まずは星吹さん演ずるマチウ!
もうほとんどスタンとの絡みがメインと言っていいような役です。

ビジュアルはかつて愛華さんがそうだったようにぴったり七三に黒縁眼鏡そしてダブルのスーツ、いかにもちょっと情けない雰囲気がたまらないですよね。
でも星吹さん自身のキュートさがあるのでそこまで不甲斐ないように見えないですし、どこか漫画っぽい感じが良いんです。
酔っぱらっている時のお芝居も可愛いですものねぇ。

このお芝居では道具の出し入れを出演者がしているのですが、カフェで登場する時にスタンは1つ、マチウが2つの椅子を持っているのがもう面白くて。
何となくふたりの力関係を表しているようなんです。

よりによってティーナに惚れたばっかりに、と言っても妻のある身でそんなことしてるのは自業自得なんですが…だからといってスタンにあそこまでいいようにされちゃうとは悲惨かもしれません。
なんですけど、スタンがダニエルに掛かりきりの時は上手奥のテーブルでティーナとイチャイチャしてるんだからいい性格してるよなぁ…と思ってます。
(スタン!後ろ、後ろ!!と思わなくもない)
何しろ最後こっそり逃げてしまいますし、意外とちゃっかりしているのかもしれませんね。
その辺りは星吹さん自身の真面目な印象からくるマチウのイメージなのかな?なんて思ってます。
真風さんのアドリブにも即座に応対してくださって、本当にマチウが星吹さんで良かった!


大事な真風さんの相手役ティーナは彩花さん。

もうっ、ムッチャ可愛いですよねぇ!
そもそもスタンはジゴロなんですよ、だのに本命がいるとは凄くないですか?
どういった出会いから発展して、ああなったのか非常に気になってます。
スタンはカフェでダニエルに「俺の所に来るか?」と言った後「それほどの関係じゃない」なんて言い切っちゃってますが、一方で去り際に「早く帰って来てね」と訴えるティーナ…なんていじらしい。
またその彩花さんがたまらなく可愛いんです。
同棲はしてないけど夕食は一緒に過ごす関係なんですかね?
プンプンして聞いてない風ですけど、でも絶対スタンったら晩になったら行くんだろうな~。
(何となく背中が気にしてるような?)

とっても目を引くパッとしたピンクのパンツ。
あれはティーナの気持ちを表している良いアイテムですよね。
そりゃお稽古場から彩花さんは似たのを着てきますわ、あれをチョイスして生活してる女の子って何か凄いですもん。
役作りにおおきく影響ありそうです。
実際ティーナったら、泣かされたりしてるけどスタンに負けてないです!
あのピンク色は強いもの、他には染まらないし自己主張も激しい!!
お買い物だってしちゃうし、荷物だって持たせます。
彩花さんはそんなティーナに見えましたよ。

無理矢理下手花道にはける時すっぽり真風さんの懐に収まってるのがたまらなく良い!
でもその前に顔面掴まれているのですら愛らしかったです。
それにあのスタンが嫌ってる泣き顔!
タカラジェンヌで変顔を求められるのって苦労されたと思うんですが、面白可愛かったですよね。
全体的にキュートだけじゃない魅力があって好きでした。
もうちょっと弾けてても良かったかな?とも思ったけど、楽に向けて変わっていくかもしれませんね。


図書館で働くイレーネ。

いやぁ、やっぱり美風さんってお芝居が上手い!
カツラも工夫されてますよね、フェリシアとお辞儀し合う時にバサッと動きがあるんです。
よくもまぁ、取れないもんだわ!と娘役芸に驚かされます。
「結婚出来ないわよ」って台詞もねぇ…難しいと思うんですよ、あれはしみじみ言ってるのが不快感を与えなくていいのかもしれませんね。
机を押しながらはけることすら面白くて流石!です。

ところで美風さんといえばパーティで淑女役をされています。
第2場面、幸せな夢で真風さんの前に座られる振りの時さりげなく見事な裾さばきを披露してるんですよ。
ついつい目を奪われてしまいます。
この時のカツラがショートのブロンドでフレッシュなのも良いんです。

そしてパーティ。
スタンが最後に絡むのは美風さんで、どうも「あら、スタン。お久し振り」といった感じで現れるんです。
そして自分から腕を組み「行きましょう」と誘ってる風なんですよ!
どういう関係なのっ?!とやきもきしているのはわたしだけでしょうか。
一応ダニエルを気にしてるっぽいスタンなのに結局一緒に下手に消えるのも仕方ないなという美女っぷりにも注目なんです。


寿さん、愛月さん、伶美さんという恐ろしくキャラが濃く美しいフォンダリ一家!

一家の父、寿さん演ずるフォンダリのおっちゃんの胡散臭さったらないですよね。
だって周りはスーツとか普通の現代風な衣装の中マントって!しかも着こなしてますし!!
さらにラブシーンまであるというのが侮れません、スター組長なだけあります。
「こざるのような?」なんて台詞できっちり笑いを取っているのも流石です。

そして息子、1発野郎バロットの愛月さん。
まさかあそこまで情けなく面白い役をこなされる方だったなんて!
(ワタクシ『TOP HAT』は未見です)
…美しい方という印象が強かったのでショックを受けたらどうしようと思わなくもなかったけど、元々真琴さんがやってた役なんだし大丈夫とか言い聞かせたりなんかしてました。
それがもう、不安が吹き飛ぶくらい良くって!
キメキメのリーゼントもばっちしで格好良く見えるのに、どこかマヌケな雰囲気を醸し出していますがやり過ぎてないのが上手いんです。
しかも台詞で、あれ?こいつ変な奴やなぁ…思わせられる巧みさ!
まさかあそこまでとは、さすがスカステで「格好良いより面白いと言われたい」と発言されただけあります。
愛月さんも机を押しているだけなのに笑いを取ってて流石でした!
奥さんが好きでたまらない所も良いですよねぇ。

その美しき妻ルシル。
いやぁ、この役を伶美さんにして欲しいとは思ってましたけど期待以上でした。
悪党の片棒担いでる女性だからこそセクシーであって欲しいなんて勝手なイメージですけど、またそこに伶美さんの美貌がドンピシャで!
あぁこういう悪女っていそうって雰囲気がフォンダリ一家の怪しさに箔を付けているようなんです。
どの衣装も素敵に着こなしていましたしね、足が色っぽかったわ~。
ツンツンした態度もぴったりで、それでいてラストのバロットへの言葉たまらないですよねぇ。
何だかんだ言って好きなんです!ラブラブな夫婦最高~。


ベルチェ刑事の澄輝さん、こちらも期待以上でした。

あんなに渋くてビジュアルの良い刑事ってこの世に存在するんでしょうか?
そんな疑いを持ってしまうくらい格好良い!
帽子を被っているからこそ活きる涼しげな目線、そしてその帽子を押さえる手やチラッと覗く鼻筋も美しいんです。
ただ残念なのは出番がスタンとカブりまくりでほとんど見られなかったという…、すいません。


あぁ『メランコリック・ジゴロ』ったら本当に面白い人がいっぱいで楽しいです。

他にも店員役の実羚さん、同期のティーナ役彩花さんとの掛け合いがとっても良いし。
瑠風くんは靴擦れしたことないってタカラヅカニュースでお話しされてたけど、ちゃんと足が痛そうだし。
瀬音さんのカティアは信じられないくらい色っぽくてビックリだし。
凛城さんは楽まで詳しく語れないけど素晴らしいし。
風馬さんのマスターと和希さんがどうも何かしてるっぽいのが見られていないのは残念だしで、本当に目が足りません!

DVDの発売が待ち遠しいです。