マルーンに乗って

お膝元で暮らす日常の思いつき

初めて劇場以外で宝塚を観ました。

その昔全ツって地方公演って言ってましたよね。
その頃はわざわざ遠くまで大階段も銀橋もない公演を観に行くなんてこと意味がよく分からないし、お膝元なんだし本拠地で観ればいいじゃない!って思ってました。
その上梅田で公演なんてないから地方でやってる宝塚って謎めいた存在でしたよ。
そもそも住まいのある関西から離れた場所で公演しているのだから、お子さまだったわたしには行きようもなかったんですけどね。

銀橋のない宝塚の初体験は飛天で行われた『悲しみのコルドバ』でした。
あると想定して踊ったり移動したりしているのが衝撃と共に不思議で仕方なかった強烈な思い出。
その後名前が何度か変わって梅芸で全ツをするのが当たり前になり、全ツでしか見られない面白さを知って銀橋がないこともやがて気にならなくなりました。
(大階段がないのは何故か慣れない…)

しかし周りの友人達は、梅芸と本当の地方でやってる全ツとは全く別物!と言うわけです。
そう言われても梅田で観られるのに?なんて思ってましたよ。
…真風さんが全ツに振り分けられるまでは。

そんなのメッチャ見たいに決まってる!

あぁ、もう「好き」を理由に行動してしまう罪深さよ!
わたしはどこまで堕ちていくんでしょうか、真風さんに…。
自分で勝手にそうしているだけで真風さんが悪いんじゃないのも承知しているんですけどね。


そんなわけで行って参りました、日本特殊陶業市民会館フォレストホール!
…長い名称ですね、そこにまずビックリ。
ネットでアクセスだったり周辺情報を得ようと思ったら「中京大学文化市民会館」や「名古屋市民会館」なんて名前が出てきてパニック!
ただひとつだけ確かなこと、そこは市民会館!!

到着してまず思ったのは、なんだか歴史ありそうな建物!
つまり古そうってことで、設備とかも足りてなさそうだなぁなんて思ってしまいました。
4階まで客席があるのにエスカレーターがないというのがいかにもでしたよ。
私が観た回はお年を召した方が多かったので大丈夫かしら?とちょっと心配に。
さらに案の定と言ったらなんですが、椅子がカチカチなのには困ってしまいました。
しかも背もたれが直角でまるで板!
やはり劇場は長時間座れるよう工夫しているんですね。
トイレは人の流れがスムーズになるよう劇場の方々が工夫してくださってたので助かりました。
でも1・3階は女性用で2・4階が紳士用という分け方にはビックリ!
そうそう休憩時間といえば自販機がひとつしかなかった!と同行者か言っていて、なんでも凄い列だったそうですよ。
これは自分で前もってドリンクを持って行くといいかもですよね。
でも椅子ばっかりはどうしようもないので、ちょっとショーが大変でした。

客席に着いてさらに驚いたのは舞台の横幅が狭い!
その上客席の奥行きが凄くて、何と1階席は31列までありました。
えぇっ、これグッとコンパクトになるのに客席が全体的に遠いってこと?
観にくそうだなぁ…というのが最初の印象。
まぁ3階席のわたしにはあまり関係なかったんですけどね。

花道はあるものの音響の都合で使用不可になっているのもビックリ。
つまり花道は使わない、というか使えないということ。
梅芸では結構花道を使っていたので、どうなるのか注目しながら観劇しました。


まず『メランコリック・ジゴロ』。

お芝居ではそんなに横幅の狭さを感じませんでした。

ただ残念なのはやはり花道がないこと。
梅芸では最初朝夏さんが演じるダニエルと真風さん演じるスタンは、瀬戸花さん演ずるアネットと花道から登場でした。
花道がないということは普通に袖から出てくるということ?と気にしていたら、やはりそうで!
普通に上手の袖から3人が登場してビックリしちゃいました。
当たり前なのに。

何が残念って、暗がりをトボトボと歩くアネットの後に続いてゆっくり前方を窺うように歩くスタンがツボだったんですよ。
それが台詞を言い出す立ち位置までの距離が短いばかりに堪能できないという。
仕方ないんですけどね。

他に花道を使っていて変更になった箇所はといいますと…。

第8場Aの楽しげにはける浮浪者達と♪ライライライと歌いながらはけるフォンダリ一家は上手袖へ。
やはりここは距離があったほうが面白かったかも。
ただ、袖に引っ込んでからも♪ライライライは梅芸と同じ長さで歌ってましたし、結構ウケてました。

迎えに来た彩花さん演ずるティーナとスタンは下手花道にはけていたのですが、ここは下手袖に。
何と距離が短い為に袖に入るまでに台詞が言い終わらず!
梅芸だと言い終えてから入っていた台詞は袖の中から聞こえてくる演出になっていました。

第8場Bでのロジェ刑事の登場も花道から上手袖に変更。
これはちょっとフォンダリの消えた方から現れたというのが分かりにくくなってしまったような…。
ベルチェ刑事と距離があるのも何者?って感じで良かったんですけどね。

瀬音さん演ずるカティアが経営する安宿。
凛城さん演ずる浮浪者は下手花道を使って出たり入ったりしていたんですが、ここも当然袖に変更。
暗い中をそっと歩く姿にただ者ではない感があったのが良かったんですけどねぇ。
さらに、フォンダリ一家に捕まったダニエルとフェリシアとは別の出入口を使って出ていったのが分かりにくくなっていました。
ここはどちらもラストの展開に重要なポイントだと思うのですが、何ともやりようがありませんものね。

やはりお芝居では意味があって花道を使っていたので、ちょっと残念な気もしましたけどこれも全ツの醍醐味ですよね~。
いちいち「こうしたか!」と感心しながら観てました。


そして、ショー『シトラスの風』。

こちらは花道がないことより、横幅が狭い方が気になりました!

でもプロローグで花道からスタンバイする真風さんの歩きっぷりを見られなくなったのは寂しかったかな。
まぁ、そもそも花道を使っていたのはそこぐらいでしたものね。

実は第3章のそよ風と私まであまり狭さは気にならなかったんですよ。
それが朝夏さんを中心とした男役祭のあとカーテンが開き、上手奥から娘役、下手花道から男役が1列で現れる件になって初めて「狭っ!」と思ってしまいました。
だってどちらの列もまっすぐではないんですもの。
娘役は中央にカーブを描きながら、男役は花道が使えなくなったので下手一番前の袖からひとりずつ現れる!
ここ、ビシッと上手から下手へまっすぐ列になっていたのが好きだったんですよね。

そして驚いたのが明日へのエナジー!
ここ幕が開いたらひとり朝夏さんが上手に立っていて、そちらに向かってダンサー達がしゃがんで板付きなんです。
その列が上手奥へと、まさかの斜め!
梅芸だとまっすぐ横に列になっていて、真風さんの横顔が素敵!なんて思っていた場面でした。
ここでは梅芸で後頭部しか見えなかった振りのところで、何とお顔が見えるという幸運が!
これは嬉しかったです。

さらにラッキーだったのは客席降り!
何と梅芸3階からは全く見えなかった朝夏さんが、この会館の3階からは見えたんです!!
いやぁ、降りてすぐの2・3列目くらいの位置でやたら目線を高い方へ送っているなぁと気にはなったんですよ。
梅芸だと1階席を横断できる通路がかなり後方にしかないので立ち止まっている位置もそんな前ではなかったし、しかも名古屋ではえらくゆっくり歩いていてビックリでした。
恐らく7列と8列の間の通路を使って横移動されたと思います。
と言うのも梅芸のように横から照らせるライトがないようで、あまり後方には行けなかったように感じました。
…そのお陰で朝夏さんの釣りではなく、漁が見られて本当に嬉しかったです。
ただ梅芸より暗いのと、通路の距離がそんなにないのとで裏方さんとふくめて苦労されている感じがありました。
でも何だか全ツならでは!って場面を見られて本当に良かったです。


最後のご挨拶ではご当地ジェンヌの遥羽ららちゃんが紹介されるのを見たり、「次は宝塚大劇場でまっとるがなぁ」と方言で挨拶される朝夏さんも見られたしで名古屋に来たんだなぁと実感!
大変だったけど、行って良かったです。
名古屋まで!!